巻 夏まつり

ここ”巻”は新潟県越後平野の西蒲原に位置します。弥彦山角田山を眼前の夏井地区には昔懐かしい刈り取りした稲を掛け天日干しする為のハサギが沢山有り四季を通じての風情が楽しめます。少し伸びた苗が初夏の爽やかな風受ける頃、おそらく新潟県の夏まつりではトップであろう「まき夏まつり」が行なわれました。
見どころは沢山有ります、昼間はお神輿行列（槇神社*御祭神は天照大神、豊受大神を御祀し（巻神社と呼ぶ）は古くから巻町（現新潟市西蒲区）の総鎮守として人びとから敬われてきた。およそ450年以上も続く由緒ある神社）が参加する方も子供から大人迄参加し子供等は棒おどりや鯛車を引いて通りを賑やかにします、何と言っても最終日のフェナ−レを飾るやかた竿灯が興奮します。三日間の開催に14日15日に熱い巻の初夏を撮影して来ました。
昼の部で目を引いたのが子供達が引く鯛車です赤い浴衣に紅い帯で楽しそうにガラガラ引いてました。この鯛車は行列が行き来する商店街の久保田メガネ店店先、店内に演出されてましたので店主に鯛車の歴史を聞かせて戴きました。
（「鯛車」は昔から巻に伝わる竹と和紙でできた郷土玩具で。言い伝えから江戸末期頃から有ったと。花屋（造花屋）や籠屋さんが造って売った。墓参りの時期に限られる事を考えると先祖の霊を慰める為の仏事が起こりと言う人もいる。昭和の初期、子供のいる家では、子供の数だけ何台もつくってた。この頃が巻「鯛車」の全盛期だった。夕暮れから各町内に20台も30台も「鯛車」に灯りをともして浴衣姿の子供達が下駄をはき、砂利道をゴロゴロ引いて歩いた。「鯛車」は竹を細く割りこれを芯にして鯛の原型をつくり、和紙を貼り、色を付ける。ウロコはロウソクを溶かし、筆で画いた。この鯛の「赤」とウロコがロウソクの灯りで美しく揺れる。やがて収穫の秋に入ろうとする晩夏の風物詩で有った。（巻鯛車保存会文書より）この様な資料を見せて戴きながら補足されました。子供の頃昔「葬儀屋さん」を「花屋」よんでた巻には5〜6件あり「鯛車」を造っていた。「鯛車」は子供のオモチャで在りながら高価で一台当時、米一斗約一万円もしたので裕福な家庭で無ければ持てない「鯛車」で有った。持てない子供達は引かせて貰うのに並んで順番で引いて遊んだそうだ。又　西瓜アンドン型も有ったそうな。久保田氏は子供の頃に近所の花屋さんに入り浸りで見ながら覚えてたものを 25年前から現在も造っている。20年前当時のコンク−ルで1位をとった、其の拘りは随所に見られる、因みに鮮やかな色は「青森ねぶた」と同じ染料を使ったり、多くの部品と何枚もの和紙、胸ひれの動きの優雅さ等が挙げられる。国内は勿論ニュ−ヨ−ク迄届けられているとの事。この日に見た飾り「鯛車」はとても印象に残る物でした。昔はお祭りに沢山の「鯛車」パレ−ドが行なわれていたが其の後途絶えたが現在復活すべしと皆さんが力を尽してるとの事、中心人物が長岡造形大学の野口氏だそうだワザワザ「巻」の地に住まいを構える力の入れ方に感服する。道路マンホ−ルの蓋は鯛車がデザインされている巻のシンボルでも有る。日中は子供達の山車がお神輿が男の子達の棒踊りが大人の威勢の良い神輿が道路狭しとねり歩きます、老若男女はお神輿様を潜りご利益を戴いてます、其の様子を地元FM局がライブで放送してました。静かなお祭りを見た後は近くの夏井地区のハサギを撮影夜は花火大会です山にこだまする音も楽しめました。
盛り上がりはやはり最終日の「やかた竿燈」でしょう。このル−ツは1975年（S50年）に巻商工会青年部が秋田竿灯を原型として神輿風にして誕生したものだと。岸本酒店若主人から聞きました。（　新潟歴史博物館には「蜑の手振り」絵巻には江戸末期頃（約200年前）の新潟湊祭りに関する夜祭りが描かれており当時「竿燈」行事が盛んであった事がわかります。この巻の「やかた竿燈」は新潟湊祭りの魂を受け継ぎ現代に復活したとも言えます。HPより）初夏の陽が下りる頃各参加チ−ムが並びます、待ちきれずにその場でエネルギ−を爆発させてるチ−ムも居ます、篠田市長の挨拶では大河ドラマ「天地人」の主人公、直江兼続役の妻夫木さんを是非招待したいとの話では歓声があがりました。
やがて開始、どのチ−ムも我がチ−ムが一番だと暴れます、提灯は激しく揺れちぎれ飛び御輿上の女性達は振り落とされない様に必死でしかも笑顔です。楽しんでる様子が十分伝わります。何十基のやかた竿灯が披露され観客も十分楽しんだ巻の夜が更けて行きました。　　2008-06-15　撮影記

2005.06
巻夏まつり